2023.06.20 10:55星の海の底 もとよりそんな畏れ多いことはできないし、この先もするつもりはないけれど、待ち合わせたりしているわけでもないのに最近は神竜様とよくお会いするような気がしていた。 例えば一息つきに来た午後のカフェテラス。鍛錬のお相手。夕方の厩舎。 そして夜の、ひとけのない木々のあたり。最初にお見かけした時、僕は少し遠くにいて声をかけるかどうか迷って、やめて通り過ぎた。あまり馴れ馴れしくするのも気が引けたのだった。神竜様はこちら側に背を向けて立っていた。 数日後の夜も神竜様はほとんど同じ場所に立っていた。この間と違ったのはソラがいたことで、僕を見つけて軽く鳴きながらこちらに走ってきた。 それで神竜様は振り返って、僕のいることに気がついたようだった。名前を呼んでくださり、...