2023.04.14 12:15子供の情景 常人にとっては永遠にも思える千年も、眠っていれば一瞬に思えた。 それほどに長く生きてもまだ知らないことのほうが多い、その多さに眩暈がしそうになる。自分のことを年端もいかない子供のように思えてくる。「これからお過ごしになる時間のほうが遥かに長いのです。焦らずとも少しずつ学んでいけば立派な王となれましょう」 即位式を終えてすぐ、不安を漏らした私にヴァンドレが言った。その傍らでクランとフランは微笑んで頷いていた。 私は数日前にクランに指輪を渡したばかりだった。まだ周囲に言ってはいない。何となく、即位式が終わって落ち着いてから発表しようと思っていた。指輪をしていない左手を見るに、クランもまだ誰にも言っていないのだと思った。「はあ……昨日は疲れました」 次の日...